田舎や山村など猫の多い地域で昔から猫を飼っている人や、多頭飼いのしている人は猫の習性などを普段から目にしているので睡眠時間などを気にする人は多くないでしょう。

一方で、初めて猫を飼った人にとっては「えっ?猫ってこんなに寝てばっかりいるの?」「病気じゃないのかな?」と不安に思う人も多くいると思います。

そこで今回は飼い猫の睡眠時間についてその不安が解消できるように、もし具合が悪いので改善または適切な方法がとれるように解説していきましょう。

猫の睡眠時間について

猫の平均睡眠時間は一般的に「12~16時間」と言われています。

人間の倍以上の時間眠っているわけですが、元々夜行性で昼間に活動する動物ではなく、夜動き回る事を得意としている動物ということは皆さんご存じかと思います。

そういったわけで大抵の猫は昼間寝ていることが多く、仕事や家事など昼間活動する生活リズムの人間からの視点だと1日中寝ているように見えるので、心配になる人もいるでしょうが猫にとってはそれが自然なので特に心配はいりません。

また、猫を含め、猫科の動物は肉食動物です。

常に狩れる獲物がいる状況とは限りませんし、狩りに失敗してしまえば貴重な食糧を得る機会を失うことになります。

そういった事態にも耐えられ、見つかった獲物を狩る体力を極力温存する為に、大半の時間を寝て過ごすというのは非常に理にかなっていると言えるでしょう。

また、植物に比べ動物の肉は高カロリー(≒高エネルギー)なので、一度食べれば頻繁に補給せずに済むと言うことも肉食動物のメリットです。

猫の寝方、好んで寝る場所

人と一緒に生活しているペットの猫は、生きる為の食糧を自分で狩る必要が全くないので、昼はもちろん夜行性にもかかわらず夜も普通に寝てしまう猫が多くいます。

逆に野良猫は狩りの機会を逃さないよう、「飼い猫と比べると睡眠時間が短め」の傾向があります。

飼われていると警戒心も薄くなりがちで「お前…野生はどこへやった」と思わず言いたくなるような「仰向けになり腹を見せた無防備な寝相」の飼い猫も特別珍しいものではありません。

動物園で飼われているライオンやヒョウなども、「生命の危機がないと安心している個体」は腹を見せた姿勢で寝る姿を見る事が出来るそうです。

ですので、お腹を見せて寝ている猫はその家や飼い主に対し警戒を解いて信頼し、本能レベルで安心しているという証拠でもあるのです。

猫の眠りの深さと人間との共通点

外敵(他の肉食動物)の格好のターゲットになりやすい生まれたばかりの仔猫や生後1年に満たない子猫は熟睡することは少なく、大人の猫と比べると浅い眠りの時間が長い為、小さな物音などでも目を覚ましやすい傾向があります。

これは生態によるものなので、子猫の内は睡眠時間の長さや熟睡しているかどうか心配するよりは、しっかり食事を摂っているかどうかの方を気にしてあげると良いでしょう。

猫も夢を見る

また、先ほど少し述べたとおり、人間同様猫にも睡眠時にレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)のサイクルがあり、レム睡眠時には人間が夢を見るように猫も夢を見ることがあります。

猫に直接尋ねる事は出来ないので内容まではうかがい知れませんが、人間同様「生き残るために覚えた事柄の再学習(餌のとり方や、外敵からの逃げ方)」を夢としてみているのではないかと考えられています。

猫も寝言をいう

夢を見ているのでもちろん寝言(寝鳴き声?)を言ったりします。

「ウニャウニャ」と満足そうな声を上げることもあれば、「ニャー」と誰かに何かを求める声だったり、「フギャー!」と叫び声を上げ自身の声にびっくりして目を覚ますなんてことも人間同様にあるのです。

猫の睡眠時間も個体差あり

猫の語源として「寝子」という字面があてられていたように、基本的には長時間寝ているのが普通の生き物ですが、人間がひとそれぞれ睡眠時間に違いがあり「極端に短い睡眠時間でも元気な人」「人並み以上に睡眠を取らないと日常生活に支障をきたす人」様々いるように、猫も性格や個体差で睡眠時間が大きく異なります。

「平均時間より5~6時間短い、または長い」という程度なら心配する必要は全くないと言って良いでしょう。

具体例を挙げるなら

  • 昼間うっと寝ていて飼い主が夜間眠りに入る頃、テンションを上げて元気に走り回る猫
  • 朝から夜までほとんどの時間起きていて、飼い主が眠りについた後しれっとその布団の上で丸くなって睡眠を取り、飼い主が目覚める前には起きていて「早く起きてご飯ちょうだい!」と頬を足の肉球でつついて催促したり、鳴いて起こしに来る猫

などの例は多すぎて数え切れない程あります。

成猫でも起きているときにちゃんと食事を取ったり、元気そうであれば睡眠時間の過多で心配する必要はありません。

対処が必要な場合の見分け方

凛々しい猫

「睡眠の時間」では猫の具合の良し悪しは判別できませんが、「睡眠の状態」でなら判断は可能です。

異様に眠りが深い

猫は人間よりもはるかにレム睡眠の割合が多く、睡眠時間の8割が該当し、逆に熟睡状態にあるのは2割程度で、寝ているように見えても近づくと目を覚ますことが大半です。

その為、丸一日寝ていて、近づいても目を覚ます様子がない場合は具合が悪い可能性があります。

睡眠しているわけではなく、目をつむってゴロゴロと喉を鳴らしている

一般的に猫がゴロゴロと喉を鳴らす仕草はリラックス時や気持ち良い時の行動とされていますが、その振動を発する事で痛みを軽減させるという効果も持っています。

その為、「軽減させたい痛みがあるのでゴロゴロ喉を鳴らしている」という危険信号でもあるのです。

ですので、寝そべっているけれど睡眠を取っている様子がなく、長時間あるいは頻繁にゴロゴロと喉を鳴らしているのであれば、高い確率で猫は痛みを感じていると思われます。

上のどちらかに当てはまる場合は、すぐに動物病院などで診察してもらうことをおすすめします。

移動の際は暴れても問題無いように「鍵の掛かる移動用ケージ」など、なければ「洗濯ネット」に猫を入れた上で「適当な箱」に入れて連れて行ってあげると良いでしょう。

「洗濯ネット法」は獣医師おすすめのやり方で、鍵の掛かるケージなどがない場合、猫が暴れて箱から逃げ出してしまうことを防いでくれます。

箱がダンボールなど紙製のものしかない場合は、新聞紙など適当な紙を何枚かクシャクシャにして底に敷いておけば、移動中におしっこをしたとしても箱から漏れたりすることを軽減してくれます。

快適な寝場所が猫にとっては大事

猫が日なたやコタツで丸くなる光景はおなじみですが、猫は人間と比べると「2度ほど」体温が高めの生き物です。

ですので、寒い時に人間の上に猫が乗ってきた場合、「人間側は非常に温かく」感じますが、猫にとっては「人間の体温だけだとやや物足りない」と感じていることでしょう。

逆に、暑い夏などは抱かれることを嫌がり、積極的に涼しい場所を探してそこを寝床とする習性があります。

人間から見ていて「そこ暑くない?」と思われる狭い物陰でも、実際に人間が潜ってみると意外な程涼しいスポットだったりすることがあります。

猫にとっては過ごす時間の長い「寝場所が快適」であるのはストレスを溜めない為にも非常に重要なので、夏なら換気を十分に確保した上で断熱カーテンなどで直射日光を抑え、冬なら暖かい毛布などで猫用の寝床を作ってやると良いでしょう。

生まれたばかりの仔猫の場合は自分で快適な場所を探すのは難しいので、エアコンを付けて快適な温度を維持してやるか、冬でなくても寒い日の夜などは湯たんぽを作って毛布の下などに入れてやると良いでしょう。

子猫用湯たんぽの作り方

材料は

  • 温かいお茶などが入っていた350mlのペットボトル(オレンジのふたで飲み口が白いもの)
  • 約50~60度の人間がちょっと触って辛うじて火傷しない温度の湯
  • ふわふわとした形状の冬用ソックス(生地が厚めで熱を直接通しにくいもの)

以上の三つです。

ペットボトルは炭酸飲料や冷たいジュースなどが入った薄い材質の物だと、変形したりしてお湯が漏れてしまうので、必ず温かいお茶や紅茶などが入っていた物を使用してください。

用意したホット対応ペットボトルに、50~60度のお湯を入れるわけですが、沸騰したお湯と違ってぱっと用意するには難しい温度だと思います。

そんな時は「風呂場のカランから出る一番熱いお湯」が大体その温度ですので、そのお湯をペットボトルに入れた後、ペットボトルを触って熱すぎないか確認してから使うようにしてください。

最後にペットボトルをソックスの中に入れ、口を結ぶことで低温やけどや子猫が直接ペットボトルに触れたりすることを防ぐ事が可能です。

人間用湯たんぽも袋に入れて使われるので、これをよりデリケートに対応した形になります。

人間用の湯たんぽでも良いのですが、子猫の場合心地よさのあまり湯たんぽの上で長時間寝てしまい、低温やけどをしてしまう可能性もあるので人間用湯たんぽを用いる場合は、ペットボトル湯たんぽより低い温度のお湯を用いたり、子猫が長時間湯たんぽにあたりすぎない様に工夫するなど十分な配慮はしてあげてください。

老猫の場合

猫は10歳(人間の年齢換算で50歳程度)を越え高齢になってくるとすこしずつ睡眠時間が長くなります。

体力の衰えにともない休息の時間を増やしているだけなので、長くなる分にはなんの心配もありません。

ですが稀に睡眠時間が短くなる猫もおり、その全てが当てはまるわけではないのですが老化に伴う諸症状(認知症や甲状腺機能亢進症など)を起こしていることも考えられますので、異常な行動や体調におかしさを感じるようでしたら動物病院へ連れて行くことをおすすめします。

まとめ

以上、解説したとおり「1日中全く目を覚まさない程長く寝ている場合」か「年老いたのに睡眠時間が短くなる場合」は改善のため動物病院に連れて行ってやる必要がありますが、そうでないのなら猫の睡眠時間が平均と多少異なっていても改善する必要はありません。

人間にとっては夜騒ぎ出す猫を子供と同じように寝かしつけたいところですが、夜行性で自由に振る舞う猫の睡眠時間を無理に変えようとすると猫にストレスをためさせてしまうだけなので、人間側が妥協して耳栓やアイマスクなど防衛策をとり「自身の睡眠時間を猫から守る」よう心がけましょう。