平成27年、1年間で67.091頭の猫が殺処分されました。
「参考:犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況 – 環境省

10年前に比べて1/4に減ってはいるものの、全国で毎日200頭近くの猫が殺処分されているという現状です。猫だけでなく犬たちも含めれば倍近くにもなります。

殺処分される猫は、飼育者本人が保健所への持ち込むケースが大半を占めており、保健所へと持ち込まれた猫は、ほどなく動物愛護センターへ移送されます。

動物愛護センターを「愛護」の響きから、持ち込まれた動物を愛護してくれる場所と思い込んでいる人もいるかもしれませんが、これは大きな間違いです。

動物愛護センターや保健所に引き取られた猫は、その74%が殺処分、つまり一度動物愛護センターに引き取られれば3/4の確率で死が待っているということなのです。

この「動物愛護センター」の名称は、日本の“見せたくないところは隠す”という昔ながらの体質から生まれたものと考えられます。

誤解のないように付け加えますが、動物愛護センターが悪いと言いたい訳ではありませんし、批判をするつもりは毛頭ありません。

動物愛護センター

各市町村に設けられた保健所へ連れて来られた動物たちは、動物愛護センターへ間もなく移送されます。彼等の飼育に必要な費用は税金で賄われるため、長期間飼育する事は出来ません。

愛護センターへ収容された動物たちは、自治体にもよりますが3~7日の間に引き取り手がいないと殺処分されてしまう運命にあります。

愛護センターには「ちょっと負担になったから」と軽い気持ちでペットを連れてくる飼い主もいます。自身が連れて行ったペットの行く末が少なからず「死」であることを意識していない人も多いのが現実です。

動物愛護センターでの猫の殺処分

猫の殺処分は「ドリームボックス」と呼ばれる殺処分用のガス室で炭酸ガスによる窒息という方法で行われます。

「安楽死」と言われることもありますが、実情は5~20分という時間をかけての窒息死であり、本当に安楽であるかどうか定かではありません。

頭部をバットで叩き割ったり、毒薬を用いられた時代もありましたが、コストや職員の安全性を考慮して炭酸ガスによる窒息死が採用されるようになりました。

ドリームボックスの名は眠るように安らかに旅立てるようにという意味でつけらましたが、この名称は動物愛護センターの名称同様、持ち込む人間の罪悪感の低下や世間の人の勘違いを生んでしまっているような気がしてなりません。

愛護センターに持ち込まれる猫たち

愛護センターに連れて来られて殺処分される猫たちの内、約16%は飼い主自身による持ち込みです。さらにその約半数が離乳前の子猫です。

また、連れて来られる野良猫の割合は84%ほどということになりますが、そのうちの子猫の割合は約76%です。殺処分される猫の大半がまだいたいけな子猫だということが分かります。

飼い主による飼育放棄

飼育放棄の理由は下記のように様々です。

  • 引っ越し先がペット禁止なので
  • 子猫のうちは可愛かったけれど大人になってしまったので
  • 産ませるつもりがなかったのに子猫がうまれてしまった
  • 赤飼い主のちゃんが生まれてしまったから猫は飼えなくなった
  • 病気になったけど治療費がかかるのが困る
  • 老猫の介護が大変
  • 飼い主が他界して面倒をみるひとがいなくなった

これらは、どれも飼い主が猫を飼う前にきちんとシュミレーションすれば飼育放棄を回避することができる理由ばかりです。

中でも問題なのが、不妊手術をしなかった上、完全室内飼育もせずに予定のない妊娠・出産をさせてしまった飼い主が、生まれた子猫をそのまま愛護センターに連れて行き、責任を丸投げしているケースが多いということです。

野良猫への餌やりがたくさんの子猫の殺処分につながる

野良猫に定期的に餌をあげる人達の存在が子猫の殺処分に拍車をかけてしまっています。

野良猫に習慣的に餌を上げている人の多くは、餌はあげてもしつけや不妊手術や病気、糞尿のことなどまでは面倒をみません。餌をもらえることでエネルギーが十分な野良猫たちは交尾行動を積極的に行い、また栄養も十分なため子猫をたくさん産み落とします。

しつけされていない野良猫が増えると、ケンカなどの泣き声が増える、放置された糞尿が増える、家を荒らしたりなどの問題行動が起こります。この結果「近所迷惑」を理由に猫たちは保健所へと通報され、さらに愛護センターに送られ、哀しい最期を迎えることになるのです。

深く考えずに野良猫に餌やりだけをおこなうことは、間接的に救われない命を生み出しているということになっているのです。

猫の殺処分を減らすために

紙袋から覗き込む猫

猫の殺処分の原因のほとんどは人間側の勝手な都合によることがほとんどです。

きちんとしたシュミレーションをすること。「知ること」で、猫の殺処分を減らすことは可能なのです。

飼育放棄をしない

飼育放棄の理由は飼う前のシュミレーション不足がほとんどです。

爪研ぎで家が傷つくリスク、出産について(避妊か、そのごの子猫の対処)、病気になった時にかさむ費用、老猫になったときの世話と費用、引っ越しの可能性など、飼う前に熟考する必要があります。

逆に、それらの知識を飼う前に知っていれば飼育放棄の可能性を低くすることができる。無理なら飼わない、という選択もでき、罪のない猫を殺処分に追い込むことを回避することができます。

不妊手術と去勢手術

飼育放棄される子猫の数を減らすには、不妊手術を徹底する必要があります。

飼い猫の赤ちゃんが見て見たい、生物的に不妊手術はかわいそう、手術の費用が高いなどの理由で、手術を行わないという意見の飼い主も多いですが、この考えは改めなければなりません。

特に完全室内飼いではない猫の場合は、避妊手術をしていない雌猫ならば外でいつの間にか交尾をし、望まない妊娠をする可能性があり、雄猫であっても去勢をしていないと野良の雌猫と交尾してしまい、保健所に収容されることの多い子猫を数多く産み落とすことにつながります。

飼い猫の赤ちゃんを見てみたいという飼い主さんは、相応の覚悟と準備をして臨む必要があります。

猫は多い時には一度に10匹の子猫を生むこともあります。その子猫全員を今の家で一緒に飼うことができるのか、その環境が整っているか考えなければいけません。

敷地や餌代・病院代と、さらにその猫たちが繁殖しないようにすべての猫に避妊手術をするために、まとまった金額が必要になります。または、その子猫全員にきちんとした、里親を探さなくてはいけません。

これらの準備をしておかないと、産ませては見たけど面倒がみれないから…と愛護センターに持ち込むという最悪の事態を引き起こしてしまいます。

また、不妊手術には発情期のストレスやケンカを抑える効果・生殖器の病気を予防するという効果もあるので、この点からも猫を飼う上で必要なことと言えます。

里親になる

猫を飼いたいと思った時に、ペットショップに行くのではなく、愛護センターや譲渡会などで猫を引き取り里親になることで、殺処分になる運命の猫を救うことができます。

動物愛護センターは殺処分だけでなく、里親を募集する譲渡会を開催したり、HPで呼びかけるなどの活動もしています。写真やおおよその年齢や性格など、細かな情報が提供されているところもあります。

近年譲渡数が増えてきて、殺処分になってしまう猫の数も昔よりは減少してきてはいます。それでも、引き取り数から計算すると、里親が見つかる確率は4分の1程度です。

また、愛護センターとは別に、近年はこうした猫たちを救うため民間団体の動物愛護グループ・保護団体が多く存在し、その活動も活発になってきています。

それらの動物愛護団体はおのおのの地域を活動拠点とし、負傷した動物や迷い犬や迷い猫、飼い主がいない犬猫を保護したり、譲渡活動など様々な活動を行っています。中には行政などから猫を引き取り、野良猫や飼い主のいない猫に不妊去勢手術を行い、殺処分を少しでも減らそうと活動しているところもあります。

これらの動物愛護活動を直接手助けできなくとも、各団体に募金や物資を寄付することも、人間の都合で命を危険にさらされている猫たちを救うことにつながります。

猫を飼う時は最後まで責任を持って

猫の殺処分の現状を書かせて頂きました。毎年これだけの数の犬や猫が殺処分されている現実について考えるきっかけになれば良いなと思っております。

言語で通じ合う事の出来ない人間とペット、人間の好き勝手に飼い処分する事について、色々な議論が交わされれば嬉しいです。