腎不全には急性と慢性に分かれますが、慢性の場合、獣医師でも見分けがつきにくいものです。

猫の死因トップと言われる腎不全ですが、猫はほかの動物に比べて腎不全になりやすいことが分かっています。

大切な愛猫の為にも、猫の腎不全とはどんなものか?症状や原因、またなりやすい猫の種類について詳しく勉強していきましょう。

腎臓の仕組み

腎不全とは、腎臓の機能がうまく働かなくなっている状態です。

そもそもの腎臓の役割は、尿を作ること・老廃物を除去すること・ホルモンの分泌が挙げられます。

一つ目の、尿がどのように作られるのかというと、まず、腎臓の網目を通らない赤血球やたんぱくなどが血液に戻されるのですが、この時、老廃物などは腎臓の網目を通り外に排出されることになります。

他に網目を通る分子量の小さい原尿という液体があるのですが、その中にも電解質やブドウ糖、水などの体に必要な栄養素がまだ残っています。

その為、尿細管という部分でその残りの物質が体に再吸収され、そのときに残ったのが尿になるのです。

猫の腎不全とは

機能がうまく働いていない腎臓では、体に必要な栄養素老廃物などの吸収・排出のやり取りを行う網目自体が詰まっている状態になります。

ブドウ糖などの再吸収がうまくなされなければ、水分なども同時に持っていかれてしまうので、大量の尿を排泄すると同時に脱水症状を起こすでしょう。

また、リンなどの体から出るべき有害な老廃物が排出されないので、そのまま体に溜まってしまうのです(尿毒症)。

貧血や高血圧に繋がる

そして最も問題とされるのは、腎臓の機能がうまく働かないと、貧血や高血圧に繋がるという事です。

血液の中には赤血球を作るホルモンや血圧を調節するホルモンがあるのですが、腎臓にはこのホルモンを分泌する働きがあります。

機能がうまく働いていない腎臓ではこのホルモン分泌に支障をきたしてしまうので、赤血球が造られなくなってしまい貧血をおこしてしまいます(非再生性貧血)。

腎不全だとどんな症状がおこるの?

実は、腎不全の初期症状はほとんど無いに等しく、唯一挙げるとすれば多飲多尿です。

水などが体内で吸収されずに排出してしまう為、尿量も増え、脱水症状とともによく飲むようになります。

続いて中期症状として考えられるのが、「よだれを垂らす」「食欲の不振」などです。

そして、末期の症状としては「沈鬱」「食べたものを吐く」「異常に寝る」といった尿毒症の症状が表れます。

やはり慢性の腎不全の場合、長期にわたって様々な症状が表れ、それも老猫の一般的な状態であったり、他の病気の症状と重なっている事が多々あります。

ここの判断に関しては獣医でも難しいと言われていますので、素人が完璧に見極めるのは不可能といっても過言ではないでしょう。

その上で、飼い主の目に見えてチェックしやすい症状として、体重の減少が挙げられるので、日々体重を図ってあげるなど、普段から愛猫の様子をうかがうようにしましょう。

また、腎不全によっておこる非再生性貧血などの症状ごとにみられる様子や治療法も異なります。

例えば、上に記した尿毒症などの症状以外にも、ホルモン分泌の障害による高血圧であれば、「網膜剥離」など眼に症状が表れます。

猫の腎不全の原因とは

猫の腎不全は、急性の場合、脱水や出血、また中毒・尿結石によって尿路が塞がれてしまう事などが原因で起こります。

急性の場合は早期に治療する事で正常に戻る事がほとんどです。

一方で、慢性の腎不全は、ウイルス感染や細菌感染などの感染症によっておこる腎疾患・腎臓の腫瘍・先天性の腎臓異常などや、遺伝が原因で起こります。

腎不全は猫の死因トップであるので多くの研究がなされていますが、最近(2016年)の研究では、猫の腎臓が、ヒトやネズミなどの哺乳類の腎臓と違っていることが分かっています。

それが何なのかというと、慢性の腎臓疾患が生じた時、ヒトなどではその患部の治癒を行うように特別なたんぱく質が送られるのですが、猫の腎臓ではそれが行われない仕組みになっており、患部の治癒が行われないまま放置されてしまう事が原因なのでは?と推察されているのです。

猫の腎不全の原因について、おおよそ老化が原因であるといわれています。

そして、慢性進行性の腎臓の病は高齢の猫がなる普通の病気です。

その原因については尿細管間質の繊維化が進行の原因とも言われていますが、まだはっきりとした原因は分かっていません。

腎不全になりやすい猫の種類

猫の腎不全の原因の一つとして遺伝をあげました。腎不全は遺伝性の病気が原因で起こることがあります。

遺伝子が親から子へ受け継がれる際に、突然傷つけられ、そのまま受け継がれてしまうときに発症します。

遺伝性の病気は、遺伝性の病気には種類がありますが、特に腎不全の原因とされるのは「多発性嚢胞腎症(たはつせいのうほうじんしょう)」です。

この病気にかかりやすいといわれる猫の種類は、

  • ペルシャ
  • スコティッシュフォールド
  • メインクーン
  • アメリカンショートヘアー
  • ヒマラヤン

が挙げられます。

この病気は、嚢胞と呼ばれる液体の入った袋のようなものがたくさん腎臓の中にでき、コブのように大きくなっていくものです。

その為、腎臓を圧迫することになり、腎臓の速やかな機能を妨げてしまいますので、これがずっと放置されることで、慢性の腎不全になります。

(遺伝子性の病気は、子猫の時に発症する場合と、成長してからあとに発症する場合がありますが、多発性嚢胞腎症の場合、だいたい3歳から7歳のころに多飲多尿などの症状が現れます。)

また、猫の腎不全の原因として、腎疾患をあげましたが、これが原因となる腎疾患の代表として、ネフローゼ症候群があります。

この病気にかかりやすい猫の種類は、特に若い雄猫です。

この疾患は、血液から老廃物などを取り除く際に助ける働きをもつ糸球体に炎症が起き、尿の中にたんぱく質が多く流れてしまうことで、むくみを起こしてしまいますので、それが作用して細菌感染やウイルス感染によって起こってしまうのです。

猫の腎不全にはどんな治療方法ある?

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振り返る猫

今まで猫の腎不全の原因は老化としてまとめられていましたが、最近の研究では、その腎臓の作りがヒトや他の動物などと違っている事が原因で腎不全を起こしやすいことが分かっています。

腎臓は一度悪くなると再生するのが不可能であり、早期発見、早期治療、予防が大切です。

治療方法の種類

一度悪くなると再生が不可能な腎臓ですが、治療方法として、腎臓自体の機能の低下を遅らせ、症状自体を軽くしてあげる治療を行います。

主に、内科治療と食事療法がなされますが、ステージや症状ごとに治療方法が異なります。

血液検査よりも尿検査が有効?

愛猫の腎臓の状態を知るための検査について、血液検査や尿検査があるのですが、動物病院では通常血液検査が行われます。

血液検査においては、尿素窒素やクレアチニン検査を行いますが、主にクレアチニン検査において腎臓の機能の低下の程度を知ることができます。

しかし、血液検査について注意したい点があるのですが、それは血液検査で異常な値が表れた場合、すでに腎臓の機能がとても低下している状態だということです。

その為、血液検査よりも尿検査の方が、腎臓の検査としては有効です。

機能が低下している腎臓の状態でも、血液検査では腎臓機能の低下の値が出ず、尿検査でははっきりと値が出るということがあります。

尿検査の値は濃縮能と呼ばれるもので、尿検査の場合、自宅にて検査することもできますが、様々な条件が必要になるため獣医師のもとへ連れて行って検査する方が良いでしょう。

尿検査は「きちんと尿を濃縮して、水分を体内に戻しているか」の基準で判断します。

例えば、尿の色が薄い場合は、体に戻されるはずの水分が尿として出てきてしまっている為、腎臓の機能の低下が疑われるでしょう。

一時的なものもありますので、定期的に尿検査をすることをおすすめします。

症状を緩和させるための内科治療と食餌療法

腎不全の症状として、尿毒素が体内に産生されている状態では胃酸が多く分泌されてしまうので、胃酸を抑える薬を、ホルモン分泌異常の関係で血圧に異常がみられる場合は、降圧剤や高リン血症治療剤を投与します。

その他には吐き気を抑える薬や血を作るために必要なホルモンであるエリスロポエチン投与があり、このように症状ごとに投薬を行うことが普通です。

また、血液成分のバランスをとるために輸血が行われる場合もありますが、人間のように人工透析などが行われることは現在ではほとんどありません。

次に、慢性腎不全の食餌療法食として、腎臓に負荷を与えないために、タンパク、ミネラルの含有を抑えたものが推奨されます。

腎臓の機能が低下してしまった猫にも与え続けてあげることで、与えていない腎臓病の猫よりも長生きする事が分かっているのです。腎臓病の為の療養フードもの種類は豊富にあるので、選別するようにしましょう。

ほとんど外国製のものになっていて、例えばロイヤルカナンの腎臓サポートドライ、アニモンダの腎臓ケア(ニーレン)などがあります。

基本的にどの種類においても栄養素的にきちんと設定されていますので、あとは療養食ごとの特徴や愛猫の食いつきによって選別しましょう。

動物病院でも、処方食として販売されている場合もありますので、獣医師に問い合わせてみるのが良いでしょう。

腎不全にならない為に毎日の予防が欠かせない

猫の腎不全の原因などについて解説してきましたが、日常的に出来る腎不全の予防や定期的に体重を図ったり、尿の色が分かるシートをつかって尿の様子をチェックする事で早期発見しやすくする事は可能です。

動物病院において、年に1,2度尿検査や血液検査をする事、また、腎不全の原因となる感染症のワクチン接種などを受けさせる事を欠かさないようにしてあげてください。

飼育環境として、キレイ好きな猫たちのために我慢しなくて良い清潔なトイレの環境を心がけ、水がいつでも目の前にある状態を保つようにしてくださいね。