犬は飼い主との信頼関係を築くことで慣れ、次第に甘えてくるようになります。

猫も飼い主との信頼関係が築ければ、甘えてくるようにはなるのですが犬よりも「気まぐれ度」が高い動物なので難度は犬に比べると高めです。

飼い主側としては、せっかく飼った猫には甘えてきてもらいたいでしょうから、甘えん坊の猫とそうでない猫の違い、どうやったら信頼を得て甘えてくる猫に育てることが出来るのか、その点について解説してみましょう。

猫の毛色は甘える甘えないに関係するのか?

世間では「猫の種類または毛の色で性格に傾向がある」と言われています。

黒猫なら賢く甘え上手、白猫は繊細で上品、三毛猫はほぼメスしかおらずプライドが高く甘え下手などと言われています。

ですが、実は「人間の血液型による性格判断に科学的な根拠はない」と同様に、「猫の毛色で性格が決まる科学的根拠はない」のです。

ただ、人間の「男女の性差」によって考え方や行動指針が異なるのには科学的な根拠があるように、猫にも「オスとメス」によって考え方や行動の傾向が違うということはあります。

それ以外ですと、猫の祖先から受け継いだ柄「主に縞模様」の猫は古くから存在している種類なので、「野生の性格を強く維持して、警戒心が高い」のに対し、「それ以外の(主に単色)柄の猫」は人間と共に暮らすようになってから生まれた毛色なので「人慣れし、穏やかな猫の種類になった」という学説もあります。

「これら二つが組み合わさったことで【猫の性格は毛色と関係性がある】という言い伝えに繋がった」というのが最新の有力な説です。

ですので、もしも甘えてくる猫を飼いたいのであれば、野生の本能が残っている縞模様ではなく、人間に慣れた歴史を持つ単色(白や黒やその混合)猫のオスを選ぶと良いでしょう。

何故「オス」を選ぶと良いのか?は次の項目で解説します。

猫を飼った直後に気をつけたいこと

まず、オス猫の場合狩猟本能が強く、去勢することによってその本能が薄れ「甘えん坊」になりやすい傾向があります。

逆に、メス猫は本来大人しいのですが、去勢することによってそれが薄れ「攻撃的、あるいは神経質」になりやすい傾向があるのです。

これが先の項目で述べた「甘えて欲しいならオス猫」を選んだ理由です。

もちろん、個体差による性格の違いもあり、「必ずこの傾向が当てはまる」ということもありませんので、あくまで参考程度にとらえておいてください。

では、メス猫の場合は去勢しない方が良いのでは?という話になるかもしれませんが、生後1年前後(個体差有り)の適切な時期(だいたい初めての発情期前)に去勢の手術をすることで特定の病気に掛かる可能性を下げてくれます。

マーキング癖などの問題行動を抑えることが出来るので、育てていく面で飼い主の負担が大きく減るでしょう。

猫を甘えん坊に育てるには非常に手間と時間がかかるので、飼い主の負担が少ないに越したことはありませんし、田舎で猫を家の中と外、自由に行き来させる場合などには特に野良猫や捨て猫を増やさない意味でも去勢手術することをオススメします。

甘えのサインを見逃さない

眠そうな猫ちゃん

猫は一人でいることに馴れた生き物なので、基本的にはドライな性格をしています。

甘えにいっても飼い主が鬱陶しがったり適切な行動を取らないようなことを繰り返している内に、猫自身が心を閉ざして甘えてくれなくなってしまうでしょう。

以下のような甘えのサインを見逃さず、適切な対応をしてあげることが大事です。

足下に顔などをスリスリとこすりつけてくる

この行動は甘えるサインでもあるのですが、基本的には自分の匂いをこすりつけ「この飼い主は私のものだ」とマーキングするための行動なのです。

他の猫の臭いがするときなどそれを消すために行ったりもするので、なるだけ邪魔せず好きなだけこすりつけさせてあげましょう。

終わる頃に2~3度頭を撫でてやれば猫はそれで満足するはずです。

ある程度信頼があるゆえの愛情表現なので決して邪険にしたりしないでください。

喉をゴロゴロ鳴らす

撫でられて気持ちよかったり、温かい場所(日向の座布団、干し立ての洗濯物、風呂上がりの飼い主の膝や胸の上)に寝転がったりなど、リラックスしたときに現れる行動です。

猫のゴロゴロ音はその猫が安心しているとき、リラックスしているかどうかの重要な判断材料になりますが、この音は痛みなどを常時感じているときなどにもならすことがあります。

この音(振動)を鳴らすことで脳内の分泌物であるエンドルフィンをだして苦痛を和らげようとしている場合でもあるのです。

苦痛の時は体に触れられるのを嫌がったり、リラックス時のようなうっとりする表情は浮かべないので、ゴロゴロ音を鳴らしていても様子がおかしいときはただちに動物病院へ連れて行ってあげましょう。

飼い主の手などを舐める

この行動は今やっている遊び、毛すき、マッサージなどを続けて欲しいという気持ちを表すときにすることが多いです。

たとえばおもちゃなどで遊んであげているとき、一旦その遊びを止めて猫の口元に手を持って行ってみてください。手をペロペロと舐めたのなら続けて欲しい合図なので、猫が満足するまで続けてあげましょう。

逆に舐めなくなったり舐め方がおざなりの時は、満足しつつある証拠なので止めても問題ありません。

成猫は人間だと三歳児程度の知能と記憶力を持っていると言われているので、この方法を繰り返せば猫側も学習し「続けて欲しいか?止めても良いか?」ぐらいのコミュニケーションが取れるようになります。

クッションや布団、飼い主の太ももなどをフミフミと足踏みする

これは子猫の時母親のお乳を柔らかく揉んで母乳をねだる仕草がもとになっています。

子猫の頃に母猫と何らかの理由で離されたり満たされなかった猫が、急に寂しさを覚えたときなど子供返りの症状として見られる行動です。

甘えたりしたいときの本能的行動なのでそのまま見守っていてください。

高い声で飼い主を見上げて鳴く

何かして欲しいときにこの行動を取りますが、残念ながら猫の言葉は分かりませんので適切な行動を取るのは最初のうちは難しいでしょう。

人間側が猫のごはんの場所、水飲み場所、トイレ、遊ぶ場所、家(ケージ)など何かをする場所をキッチリと分けていれば、賢い猫はそこまで先導してくれるようになるので多少の苦労は軽減可能です。

愛情を行為で示してあげる

犬を懐かせる手段として、ごはんと散歩は定番ですが、猫も基本は変わりません。

猫は定期的な散歩はしないので、主な手段としては給餌、トイレ掃除、ブラッシング(毛すきや毛繕い)などをマメにすることで懐いてくれます。

あとは犬猫共通で「優しく撫でてやる」ことです。

気持ちの良い場所を重点的に撫でてやることで懐いてくれるのですが、犬よりも警戒心の強い猫を「頻繁に」あるいは「いついかなる時でも」撫でてやるのはストレスをためてしまうため御法度です。

ある程度信頼関係の築けた猫が「撫でさせてやるよ」「私を撫でなさい」と自分の近くに寄ってきた時のみにしておくのが肝要です。

撫でるときのコツ

犬のように体のどこを撫でても喜ぶといったことはなく、基本は「頭、喉、尻尾の根本」が猫の喜びポイントです。

それぞれもただ撫でるのではなく、それぞれの場所ごとにちょっとしたコツが必要となります。

普通に撫でていい場所です。犬と同様良い行動を取ったときに褒めるのとセットで撫でてあげるとなお良いです。

マッサージしてやるなら鼻の頭からおでこ、後ろ頭にかけてシャンプーのマッサージのように撫でたり梳いたりかいたりしてあげると喜びます。

十分に信頼された飼い主ならヒゲより後ろ側の頬のマッサージもしてあげると喜ぶでしょう。

あごの下から喉にかけて人差し指の腹や背でそーっと撫でてやるのが効果的です。

ここを撫でると大抵の猫は高確率でゴロゴロと鳴いてくれる有名なスポットです。

尻尾の根本

尻尾の根本(背中側)は撫でるのではなくポンポン、トントンと軽く叩いてやる方が喜びます。

ただ敏感なので嫌がる子もいますし、逆に強く叩けと指示する猫もいます、基本的に尻尾の根本は性感帯なので生後間もない子猫のうちなどはあまり喜びません。

喜んでくれるかどうかはその猫次第で、去勢の有無とは関係ありません。

耳たぶを指で挟みマッサージするように撫でると喜ぶ猫もいます。

猫にとっても敏感な場所なので、かなり信頼度が高くないと嫌がられる可能性があります。

慣れてくると耳掃除(ティッシュなどで指が入る範囲まで汚れを取ってやる)でもうっとりしてくれます。

一度ハマるとクセになるようで、最初嫌がっていた猫も甘えて耳マッサージをねだるようになることも十分あり得ます。

あと、かゆくなりやすい場所なので、軽くかいてあげるだけでも良いでしょう。

猫のタイプを見極める

ごく稀に「本来嫌がる場所のお腹」を撫でると喜ぶ猫もいるように、気まぐれな猫ゆえ相手ごとに撫でて喜んでくれる場所が異なります。

気持ちよくなる場所は「目をつぶってうっとり(気持ちいい)」するか、「尻尾をピンと立てる(喜んでいる)」か、「ゴロゴロと鳴いてくれる(リラックスしている)」ので目や耳を澄まして猫の様子を観察するのも重要です。

人間も気持ちよさに弱いように、猫も気持ちいい撫で方をしてくれる人には積極的に甘えてくるようになります。

なれれば反応を見て気持ちよいかそうでないかは分かるので、甘えん坊猫に育てるには撫でたりマッサージしてあげたりすると良いでしょう。

犬の場合ですと撫でられて喜んでいるときは尻尾を勢いよく振りますが、猫の場合に尻尾を勢いよく振っているときはイライラしているなど、不機嫌またはストレスを感じていることの表れなので、そんなときは撫でたりせずにそっとしておいてあげましょう。

ただトイレなどが汚れてはいないか、キャットフードや水は皿に十分満たされているか、暑すぎたり寒すぎたりしてはいないかなど猫にストレスがたまるような状況になっていないかも確認してあげる必要はあります。

遊んでやる

基本飼い主にすり寄ってくるような大人しい猫は撫でることで十分な信頼を得られますが、遊び好き(狩猟本能の高い)猫はそれだけでは満足してくれません。

そんなときは猫用のおもちゃを使って、犬の散歩のように定期的に遊んでやる必要があります。

動くおもちゃ、古典的なネコじゃらし、猫が直接見えない物陰から手を出しては引っ込めてそれを捕まえさせる狩りごっこ。

それらが嫌いな子、手加減してくれる子、興奮しすぎて爪を立てたり噛んだりしてくる子様々ですので、興味を持ってくれた方法で飼い主自身も怪我をしないよう手袋など用意して遊んであげてください。

どんなときも猫を大切にしていることを態度で表すこと

基本猫は嫉妬心の強い生き物です。飼い主がパソコンで作業をしていたり、新聞を読んでいたり、スマートフォンをいじっていたりすると「私をかまえ!」と邪魔しにきます。

そんなときは自分のしたいことを一旦中断し、撫でてやったりブラシで毛すきをしてやったり、愛情を行為で表現するのが大切です。

大抵の猫は長時間撫でられるのを好まないので、ある程度満足したら自ら離れていきます。場合によってはそのまま新聞または飼い主の膝や体の上で寝てしまうこともありますが。

そうやって自己を犠牲にし猫を構ってやることで、ようやく本当の信頼関係(?)が築け「ああ、この人は私を一番に思ってくれているんだ」と心を許し甘えてくるようになります。

よく「飼い主が猫の従僕になる」と例えられますが、実に的を射ておりそれくらいの心構えでないと「甘えん坊の猫」に育てることなど出来ません。

猫が心を開いて甘えてくるようにするには「無償の愛」が必要なのです。

最後に

こうやって「甘えん坊猫に育てる」という項目一つ取っても犬のような常套手段が猫にはないので、結局各飼い主自身の観察と試行錯誤が重要になってきます。

そういった各猫ごとの性格の違いこそ、猫という生き物の可愛さに繋がっているので、時と場合によってはあきらめも肝心です。

また、猫好きな人は猫の生活を一番に考え、自分の生活がおろそかになる人もいるくらいに愛情を注ぎすぎてしまう人もいますが、飼い主が健康に生きてこそ猫も安心して生活できるのです。

ペットフードやその居住環境などは飼い主自身の生活レベルに合った物にしておき、人間と猫、お互い無理なく健康に過ごせることを第一に考えることが大切です。